1964年、京都・宇治川に建設された天ヶ瀬ダム。
今回は京都への引っ越しを検討中の方に向け、天ヶ瀬ダムの再開発にともなって2020年7月に貫通した水路トンネルをピックアップ。
日本最大級となる水路トンネル完成後の効果と、トンネル貫通までの流れについてご紹介します。
2021年末完成予定の京都・天ケ瀬ダム再開発~水路トンネルの効果は?
琵琶湖から流れる宇治川は、近畿地方の重要な水源となる河川です。
天ヶ瀬ダムは宇治川をせき止めて流水量を調節するほか、琵琶湖周辺と淀川流域におよぼす浸水被害に備える治水機能、水力発電所への総水量の増強、下流地域の水道水の確保など、多くの役割を担っています。
そんな天ヶ瀬ダムも1964年の誕生から50年以上を経て、現在、再開発事業が進められています。
そして2020年7月、天ヶ瀬ダム再開発事業完成に先駆けて、トンネル式放流設備の水路トンネルが貫通。
一般的な道路トンネルの7倍から8倍の大断面を持ち、日本最大級となるこの水路トンネルの運用により、放流量を既存のダム本体と合わせて毎秒900トンから1500トンに増強して貯水量の効率的な調整機能を発揮。
上流での浸水被害の軽減効果とともに、トンネル内に構築される減勢池部によりダム貯水湖から宇治川へ水を放流する際に水圧を弱め、宇治市など下流に向けた洪水調節機能が期待されています。
2021年末完成予定の京都・天ケ瀬ダム再開発~水路トンネル貫通までの流れ
では日本最大級となる水路トンネルは、どのような流れで貫通したのでしょうか。
水路トンネルの掘削作業は、まず小さなトンネルを掘ることから始まりました。
予定されるトンネルアーチ部分の左右と中央に小さなトンネルを掘り、続いてアーチ部分全体を掘削。
徐々にトンネル断面を広げるように、段階を経て掘り進められました。
ただし掘削作業はすべて順調に進んだわけではなく、掘り進めるなかで予想以上の土圧があることが判明し、土留めの代わりとなる鉄筋コンクリートの円柱支保工をトンネルの両面側に構築する新たな策が講じられることに。
縦長の大断面を持つ日本最大級の水路トンネルは、そうした試行錯誤を経て2020年7月、ついに貫通のときを迎えました。
まとめ
天ヶ瀬ダムの再開発事業完成に先駆け、2020年7月に貫通した日本最大級の水路トンネル。
2021年末に再開発事業の完成を迎えた暁には、安定した水道水の供給をはじめ、京都周辺の浸水被害などを回避するための重要な役割を担います。
日本各地で大雨による被害が続くなか、住民の不安を解消してくれる天ヶ瀬ダム再開発の完成は待ち遠しい限りですね。